乱読派の読書メモ

本好きの本好きによる本好きのための読書記録

「勇気凛々ルリの色」浅田次郎

エッセイの類というのはたいがい面白い。 いや、もうちょっと正しく言うと、「小説家の」エッセイは面白い。 そりゃそうだ。筆一本で飯を食ってる文筆のプロが身近なアレコレを、ものによったら自分と同じものを見たり考えたりしたあれこれを文章化してくれ…

「コブラ」寺沢武一

◆出会ったころは幼すぎて 漫画好きなら知らない人はおらぬまい、コブラ。 アニメでは声を野沢那智氏が充ててる。映画版では松崎しげる氏で違和感あったなあ。あれはあれで好きだけど。 わたしのコブラとの出会いは非常に古い。たぶん幼稚園上がる前くらいだ…

「三体」劉慈欣

中国の作家さんが書いたザ・SF。 全3部作で2部と3部はそれぞれ上下巻の全5冊。 これ、去年(2021年)に読んだのですが、もっっっっっのすごい面白いかったです。 もう読み返したくて仕方ないくらいなのですが、この作品の中で出てきたいくつかの作品をク…

「箱男」安倍公房

安倍公房作品を手に取るのは「砂の女」に続いて二作目。 book.hampemtarutaru.com 「砂の女」は時代的背景もあって陰気ながらも理解できる良作だったと思いますが、この「箱男」は…。 うーん、良くも悪くも問題作、って感じでした。 難解。いや、難解という…

「エロイカより愛をこめて」青池保子

◆大好きな漫画 青池保子著「エロイカより愛をこめて」。個人セレクトベスト漫画10選に絶対入ってきます。 とはいえ、子供の頃は全然読んだことがなく、出会いはだいぶオトナになってからでした。 絵がいまいち苦手で、とっかかるのにちょっと気合が要る感…

「作家小説」有栖川有栖

有栖川有栖氏のジャンル分け不可な作家が主人公の不思議な短編集。 この人の作品は大好きで、数もかなり読んでいる。 おもに作家アリスシリーズと学生アリスシリーズだが、それ以外も追々紹介して行けたらと思っている。 本格ミステリ作家さんなのだけど、な…

「沈黙」遠藤周作

遠藤周作というとユーモラスな話を書く人、という印象があるが、本職(?)はキリスト教作家。いやその肩書もどうかと思うが。 スコセッシが映画化したのが何年前だったか、評判になったよね。 いや、うん、見てないんだが。 非常に重い。苦しい。でも面白い…

「地下鉄に乗って」浅田次郎

◆第16回(1995年) 吉川英治文学新人賞受賞 浅田次郎氏らしい、丁寧に優しい文体で書かれたファンタジーとノスタルジーに溢れた1冊。 地下鉄駅の階段をあがると、そこはなぜか30年前。 タイムスリップものと呼んでいいのか、タイムスリップが「地下鉄に乗る…

「カササギたちの四季」道尾秀介

◆四季を通して 1年を通して雛形となる形を備えた連作ミステリー。 この人の文章は以前どっかで短編を読んだきりだったのだけど、思ったよりスマートでした。 表現もところどころグッとくるものもあって、もっといろいろ読んでみたい気持ちにさせられます。 …

「火怨」高橋克彦

◆蝦夷たちの熱い魂 もう随分前に読了してまた最近に読み返したオススメ作品「火怨」、高橋克彦氏著、上下2冊。サブタイトルは「北の耀星アテルイ」。たしか吉川英治文学賞かなんか取ってますね。 全部ひっくるめて大絶賛ってわけにはいかない部分も多々ある…

「光」三浦しをん

友人のお勧め。 三浦しをん作品は「舟を編む」しか読んだことがなかったのですが、それを期待して読むと印象の違いにどぎまぎします。わたしは幸い友人から事前に印象まったく異なるよという注意を受けていたのでだいぶましでしたが、それでも驚きました。 …

「プリズンホテル」浅田次郎

◆得体の知れないタイトル「プリズンホテル」 人生で面白かった本10選をあげるとしたらうっかりコレ入って来ちゃいます。 それが浅田次郎の「プリズンホテル」、夏~春の全4巻。 自分では絶対に手に取らなかったと思います、この本。 浅田次郎は嫌いじゃな…

「見知らぬあなた」リンダ・ハワード

◆見知らぬあなたとそんなこと!? 短編オムニバス作品、全4編収録。 そしてロマンティック…いやオトナ要素が強い。印象としてはほぼオトナ向け本です。 ハーレクインとか読んだことないけどこんな感じなのでしょうか。 主人公の女性は若く魅力的で、意外過…

「三国志」吉川英治

◆「なぜこんなに面白いのか?読めばわかる」 これは横山光輝氏の漫画版のほうに載っていたアオリ文。吉川英治氏の作品を原作として描かれた全50巻。肝心の吉川氏の三国志は、文庫版で全8巻でした。 三国志自体はほんとうに数多く描かれていて、各作者の推測…

「奇岩城」モーリス・ルブラン

◆世界のヒーロー、アルセーヌ・ルパン ルパンの冒険シリーズ第三弾の奇岩城を読みました。 モーリス・ルブラン作で、今回読んだのは堀口大學氏訳によるもの。 ルパンとの出会いは小学生時代に図書室で。 上に子供向け仕様の画像を載せましたが、そうそうこの…

「何者」朝井リョウ

これはねー。なんつーか、「やられた!」って思った本。 「桐島、部活やめるってよ」で一躍有名になった人、って程度の認識だったから、正直これを手に取った時も結構逡巡したんだよ。 就活の話らしいし、さわやかな青春ものってのもどうもなあ。 とはいえ食…

「迷路」キャサリン・コールター

◆鉄板のおもしろ要素「FBI」 キャサリン・コールター著の「迷路」。FBIを舞台にした長編ラブサスペンスです。 ラブサスペンスってカテゴリの呼び方もどうかと思いますが、なかなかじょうずな呼び名が思いつきません。 活発で行動的な主人公と、序盤で出てく…

「舟を編む」三浦しをん

◆第9回(2012年)本屋大賞受賞 もう読み終わってからだいぶ経つんですが、書こう書こうと思ってるうちに今に至ってしまいました。 だいぶ話題になっていたので一度は読みたかった三浦しをんさんの「舟を編む」です。 おもしろかったです。 想像以上にライト…

「砂の女」安倍公房

友人に勧められてはじめて手に取った安倍公房という作家の本。 エグいというかグロいよ、とは貸してくれた方の談。 なるほど、エグい。 昆虫採集に出かけた変哲もない男が、砂の中でもがいて暮らす人々が生きる土地へ迷い込んで、その蟻地獄にまんまと捉えら…

「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎

◆第5回(2008年) 本屋大賞受賞 本屋大賞受賞作、伊坂幸太郎著。 実にすばらしかった。手放しで絶賛です。プロの作家はすごいですね! その筆にはお金を払ってもいいと思わせるだけのたしかな技術力があります。 わけてもこの「ゴールデンスランバー」は荒唐…

「リアル鬼ごっこ」山田悠介

筆が悪い。序盤の展開もものすごい無理やり。読み進めるのキツイかなーって思えるレベル。 だったのだけど、設定は面白く先がどうなるのか気にはなるので、思ったよりはスラスラ読めた。 途中ハラハラするシーンも多いのだけど、筆が追いついていない印象で…

「バンビーノ!」せきやてつじ

きょうは漫画をご紹介。最近読み返したので。 松本潤主演でドラマ化もされていた「バンビーノ!」全15巻。イタリアンに魅せられた青年が最前線の大繁盛店で働くお話です。 お料理がおいしそう、若者の成長するさまやそれをとりまく人間模様が面白く、流行る…

「獣たちの夜ーブラッド ザ ラストバンパイヤ」押井守

◆「攻殻機動隊」の押井守氏の作品 映像系の方の本です。押井守氏著。 映像系の筆とあって、アクションを期待してしまう気持ちは否めなかったのですが、そういったものはほぼ皆無です。 無色透明とは程遠いどぎつさ。 黒と赤にべっとりと血塗られた、不快感す…

「ラヴレター」岩井俊二

◆透明な色彩の岩井ワールド 映像作家として有名な岩井俊二氏の著。 肩書にふさわしい透明な色彩の恋物語です。 正直変哲のない恋愛ものはあまり得意ではありません。 ですので、少し辛口の感想になります。 誉める意味合いではなく、失礼ながら少女向けの小…

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊

◆第4回(2005年) 『このミステリーがすごい!』大賞受賞 ドラマ化もされた海堂尊氏の大ヒット作。 このミスでべた褒めだったので、実は以前から読みたくて読みたくて、めちゃめちゃ期待してました。 …いやまあ、期待を大きく裏切らない程度にはしっかり読め…

「マボロシの鳥」太田光

◆毒舌が売り、爆笑問題・太田光の小説デビュー作 爆笑問題自体は好きで、その名義で書かれているものも過去にいくつか読んでいます。 筆の質はとても高く、たくさん本を読んでらっしゃるんだろうなと感じられます。 でも、毒舌キャラの太田さんを期待して読…

「長い長い殺人」宮部みゆき

◆主人公:財布! 宮部みゆき氏の異色といえるミステリ作品。 財布を語り口にストーリーを組み上げて行くスタイルで、作者の技術の高さにただただ感心させられました。 飽きさせず止まらせずちょうどいいスピード感で読み切れます。 「財布の視点」で人間たち…

「ゲゲゲの女房」武良 布枝

◆水木しげるの夫人、武良布枝氏の半生を描いたエッセイ 誰もが知ってる「ゲゲゲの鬼太郎」といえば漫画界のオバケ漫画ですね(両方の意味で)。 これを描いた超がつく鬼才、水木しげる氏の奥方が、その人生を振り返って書かれたエッセイです。 貧乏からはじ…

「青の炎」貴志祐介

◆青く切ない心象風景を見事な筆で描き上げる 映画化された貴志祐介氏のミステリー作品。ちなみに映画は未視聴です。 しばらく活字から離れていたためこういったジャンルは久々に読んだ感がありますが、これはものすごい勢いで読み終わりました。面白いです!…