これの次に読み始めてどっぷり浸かっておりましたが、読み終わりました。読み終わってしまいました。
日付見て自分でビックリしていますが1ヶ月くらいかかってるな。
いやーもー面白い。面白かった。
帰ってきたくないくらい面白かった。
もともと三国志自体が大好きだから当然なんだけどさ。
吉川作品を上回る全13巻ってことで、正直途中でダレるかなと思っていたが、どうしてどうして。
あくまで個人的な意見だが、三国志的に面白いのって、群雄割拠の前半パートじゃない。
董卓がいて、呂布がいて、曹操がいて、前半のクライマックスが赤壁と言っていいだろう。
周瑜が死んで前半終了ってイメージ。
もちろんそこまで最高だったが、それ以降も失速することなく最後まで面白かった。
いやまあ、吉川三国志も横山三国志もそれは後半だってやっぱり面白いんだけど。
ファンタジー要素を一切排した、すがすがしいほどの軍記もの。
オリジナルのキャラクターたちのすばらしいこと。
特に各国の間諜の描き方は秀逸。鍼の爰京も実に重要な役どころで、実在してたんじゃないかと疑いたくなる。
そしてそして、バカがいない。
なんてったらいいのかな、ゲームとかやる人はわかると思うんだけど、武力90知力30みたいな勝手に持ってる武将たちのイメージがあるじゃない。
たとえば張飛。たとえば呂布。
北方三国志では彼らはまったくバカじゃない。
それぞれが持つそれぞれの生き様や信念があって、みんないろんなことを深く考えていて、それがダイレクトに伝わる。
故事に由来する馬謖でさえ、愚かな若者とは描かれておらず、みんな総じてイイ男。
誰もバカじゃない。誰も悪くない。みんなそれぞれ生きていて、理想を夢を信念を自分を持ってる。カッコいい。
今作を読んでもともと好きだったけど、張飛と呂布がさらにめっちゃくちゃ好きになった。
呉びいきとしては呉の扱いの軽さが物足りなくはあったが、まあ、呉の立ち位置ってそういうもんだし。
それでも老張昭のくだりとかでじゅうぶんらしさは描かれていた。
大好きな陳宮もいい描かれ方だった。
全体通して、視点が日本的、というか、作者の国家観みたいなものが際立った。劉備曰く「国家の中心には長年続く貴ばれる血統があるべき。実権を持つ必要はなく、支柱とすべし」というのがあって。
それが日本の天皇の在り方みたいに感じて、右翼的(って言い方も変だけど、わたし個人も天皇をそういうものとして捉えているので)だなって。
ああもう書いてるといつまでも書いちゃうな。
とにかく最高に面白かった!
ちなみにですが、それでも史記と比べると史記に軍配が上がります。
より筆が個性を増してソリッドになっている印象なので。
もちろん三国志は一般的に予備知識がある方のほうが多いのでとっつきやすさでいけば三国志なのかもですが、同等にバックボーンなしで読み始めるなら個人的には史記をお勧めします。
とはいえ、この先三国志に埋没したくなったらの選択肢にこれが加わってくることは間違いなく。
北方謙三の筆、すげー好きだわ。
そして蒼天航路も読み返したくなってます。ほかの人の書いた三国志も読みたいな。
歴史ものは面白過ぎてついついそればっかりになっちゃう。
各巻の副題も一応載せとくね。
裏表紙説明のラスト「〇〇の第〇巻」を見るのがひそかに好きだったことは内緒です。
1 天狼の星
2 参旗の星
3 玄戈の星
4 列肆の星
5 八魁の星
6 陣車の星
7 諸王の星
8 水府の星
9 軍市の星
10 帝座の星
11 鬼宿の星
12 霹靂の星
13 極北の星