トイレ常駐、数年がかりで読み切ったやつ。
世界遺産というと、有名観光地のリストのように思っていた。
ピラミッド、万里の長城、モン・サン・ミシェル、マチュ・ピチュ、屋久島。
そのくらいの有名どころをなんとなく思い浮かべる。
この本を読んでまず驚いたのは、世界遺産の多さだった。
知らないもののオンパレード。
名前も知らなきゃ場所もさっぱりわからない。
でも読んでみると、それぞれにちゃんと濃いエピソードがある。
写真や挿絵も入っていて、現地に行ってみたくなる。
世界遺産とは、有名観光地のリストじゃなくて、人類と地球の「濃い話」が詰まった標本箱みたいなものなのかもしれない。
ひとつひとつの説明は短い。
その短さの中に、歴史、宗教、権力、建築、自然、人間の執念みたいなものが詰まっている。
世界には知らない場所がまだまだ山ほどあるのだな、と思わされた。
ただし、少し気になったところもあった。
ティムガッドの説明で、二世紀から三世紀ごろに繁栄したと書かれている中、劇場が「一一世紀」に建てられたように読める記述があった。
何度か理解できずに読み返したが、文脈から考えると、おそらく二世紀の誤植なんだと思う。
このへん、元職業病。
こういう本で一度「あれ?」と思ってしまうと、少し読む気持ちが変わる。
世界遺産の本は、知らない場所へ連れて行ってくれる本。
読んでる方としては無防備に「へえ、そうなんだ」と受け取ってしまう。
だから数字や年代の違和感があると、急に足元を確かめたくなる。
とはいえ、全体としては楽しかった。
世界遺産というものを、有名な観光地ではなく、知らない物語の集まりとして眺められる本だった。
数年がかりで読むには、むしろちょうどよかったかもしれん。
一気に読む本というより、少しずつ知らない場所へ連れて行ってもらう本。
読み終わった今も、覚えきれないほどたくさんの世界遺産が、世界中に散らばっているのだと思うと気が遠くなる。
世界はあまりに広くて、人類はあちこちでいろんなものを作りすぎ。
全部見て回るには1000年くらい必要だわ。
