1999年の大ヒット作、分厚い上下巻の大ボリューム。
もちろん漫画化映画化済。今回初読、ようやく読めた。
戦争モノは外れないという謎の自信と、映画化されたあたりの盛り上がりからすごく期待して読みだした。
タイトルもめっちゃおもしろそうだもんね。
結論から言えば、期待をじゅうぶんすぎるほど満たしてくれる面白さだった。
うん、すごいおもしろかったよ。
でもなんというか、ストーリーは超力業の漫画的で、記述は映画の台本的。
自衛隊、テロリスト、政治や経済も絡んでくる難解な筋立てに、舞台となる護衛艦をはじめ専門用語の多いこと多いこと。
比較的好きなわたしでも多少げんなりしたくらいだ。免疫がない人ならページを埋め尽くす耳慣れない軍事用語と硬質な兵器の説明に投げ出しちゃうんじゃないだろうか。
いっぽうそれとは対照的に人物や風景を描く筆は美しくロマンチックで、会話パートはニヤリとしちゃうようなダンディズムで溢れている。
そのギャップがなかなか面白く、説明パートは我慢して読む、みたいな感覚だったかな。
ストーリーはあちこちで「イヤイヤイヤ」「オイオイオイ」ってのが出てきちゃうんだが、そういうところもまあ、こういう種類の話ならアリかなって。
冷めちゃう部分を引き戻すだけの牽引力は確かにあるし、たとえばこれが漫画だったらすんなり受け入れられると思うので、だから力業の漫画的。
それでもそういう素材を全部乱切りにして鍋に入れて豪快に炒めて出された料理は箸が止まらん美味しさで、食後にそっと置かれた食べるのが惜しくなるような美しい完成されたデザートですべてが報われた、みたいな読後感。
最後は少しだけ泣いた。いい涙だった。
ダンディズム全開のベロベロさはわたしは大好きだが、好き嫌いが分かれるとは思う。
「~したつもりになって」が象徴的に登場した言葉だったが、この作品は作者自身が
「護衛艦に乗ったつもりになって」書かれたものだったのかもしれない。
非常に映像的だったので、映画も見てみたくなった。
*↓後日観ました