乱読派の読書メモ

本好きの本好きによる本好きのための読書記録

「何者」朝井リョウ

これはねー。なんつーか、「やられた!」って思った本。 「桐島、部活やめるってよ」で一躍有名になった人、って程度の認識だったから、正直これを手に取った時も結構逡巡したんだよ。 就活の話らしいし、さわやかな青春ものってのもどうもなあ。 とはいえ食…

「迷路」キャサリン・コールター

◆鉄板のおもしろ要素「FBI」 キャサリン・コールター著の「迷路」。FBIを舞台にした長編ラブサスペンスです。 ラブサスペンスってカテゴリの呼び方もどうかと思いますが、なかなかじょうずな呼び名が思いつきません。 活発で行動的な主人公と、序盤で出てく…

「舟を編む」三浦しをん

◆第9回(2012年)本屋大賞受賞 もう読み終わってからだいぶ経つんですが、書こう書こうと思ってるうちに今に至ってしまいました。 だいぶ話題になっていたので一度は読みたかった三浦しをんさんの「舟を編む」です。 おもしろかったです。 想像以上にライト…

「砂の女」安倍公房

友人に勧められてはじめて手に取った安倍公房という作家の本。 エグいというかグロいよ、とは貸してくれた方の談。 なるほど、エグい。 昆虫採集に出かけた変哲もない男が、砂の中でもがいて暮らす人々が生きる土地へ迷い込んで、その蟻地獄にまんまと捉えら…

「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎

◆第5回(2008年) 本屋大賞受賞 本屋大賞受賞作、伊坂幸太郎著。 実にすばらしかった。手放しで絶賛です。プロの作家はすごいですね! その筆にはお金を払ってもいいと思わせるだけのたしかな技術力があります。 わけてもこの「ゴールデンスランバー」は荒唐…

「リアル鬼ごっこ」山田悠介

筆が悪い。序盤の展開もものすごい無理やり。読み進めるのキツイかなーって思えるレベル。 だったのだけど、設定は面白く先がどうなるのか気にはなるので、思ったよりはスラスラ読めた。 途中ハラハラするシーンも多いのだけど、筆が追いついていない印象で…

「バンビーノ!」せきやてつじ

きょうは漫画をご紹介。最近読み返したので。 松本潤主演でドラマ化もされていた「バンビーノ!」全15巻。イタリアンに魅せられた青年が最前線の大繁盛店で働くお話です。 お料理がおいしそう、若者の成長するさまやそれをとりまく人間模様が面白く、流行る…

「獣たちの夜ーブラッド ザ ラストバンパイヤ」押井守

◆「攻殻機動隊」の押井守氏の作品 映像系の方の本です。押井守氏著。 映像系の筆とあって、アクションを期待してしまう気持ちは否めなかったのですが、そういったものはほぼ皆無です。 無色透明とは程遠いどぎつさ。 黒と赤にべっとりと血塗られた、不快感す…

「ラヴレター」岩井俊二

◆透明な色彩の岩井ワールド 映像作家として有名な岩井俊二氏の著。 肩書にふさわしい透明な色彩の恋物語です。 正直変哲のない恋愛ものはあまり得意ではありません。 ですので、少し辛口の感想になります。 誉める意味合いではなく、失礼ながら少女向けの小…

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊

◆第4回(2005年) 『このミステリーがすごい!』大賞受賞 ドラマ化もされた海堂尊氏の大ヒット作。 このミスでべた褒めだったので、実は以前から読みたくて読みたくて、めちゃめちゃ期待してました。 …いやまあ、期待を大きく裏切らない程度にはしっかり読め…

「マボロシの鳥」太田光

◆毒舌が売り、爆笑問題・太田光の小説デビュー作 爆笑問題自体は好きで、その名義で書かれているものも過去にいくつか読んでいます。 筆の質はとても高く、たくさん本を読んでらっしゃるんだろうなと感じられます。 でも、毒舌キャラの太田さんを期待して読…

「長い長い殺人」宮部みゆき

◆主人公:財布! 宮部みゆき氏の異色といえるミステリ作品。 財布を語り口にストーリーを組み上げて行くスタイルで、作者の技術の高さにただただ感心させられました。 飽きさせず止まらせずちょうどいいスピード感で読み切れます。 「財布の視点」で人間たち…

「ゲゲゲの女房」武良 布枝

◆水木しげるの夫人、武良布枝氏の半生を描いたエッセイ 誰もが知ってる「ゲゲゲの鬼太郎」といえば漫画界のオバケ漫画ですね(両方の意味で)。 これを描いた超がつく鬼才、水木しげる氏の奥方が、その人生を振り返って書かれたエッセイです。 貧乏からはじ…

「青の炎」貴志祐介

◆青く切ない心象風景を見事な筆で描き上げる 映画化された貴志祐介氏のミステリー作品。ちなみに映画は未視聴です。 しばらく活字から離れていたためこういったジャンルは久々に読んだ感がありますが、これはものすごい勢いで読み終わりました。面白いです!…