乱読派の読書メモ

本好きの本好きによる本好きのための読書記録

「アシモフのミステリ世界」アイザック・アシモフ

アシモフのミステリ世界 (ハヤカワ文庫SF)

 

アシモフといえばSF界の巨匠も巨匠、なんだけど、恥ずかしながらわたしはほんとに読み散らかすほうなので作家の名前もあやうい。

記憶力が著しく心許ないため、読んだことはあるんだけど誰が書いたやつだっけ?ってのがほとんど。

アシモフとブラッドベリとアガサなんかもかなり頭の中でごっちゃになってる。うっかりすると星新一や筒井康隆なんかの作品も「あれ?これアシモフだっけ?」みたくなってる。作品自体は覚えているけど、それを誰が書いたのかまるで覚えちゃいない。

 

そんなわたしがなぜ名指しのこの作品を手に取ることになったかってえと、これも以前読んだ「三体」からの流れ。

 

 

book.hampemtarutaru.com

 

この作品の中でアシモフの「反重力ビリヤード」という短編について触れられており、おやっと思って調べたところ、この本に収められていたってわけ。

 

で、このSFミステリにカテゴライズをされた短編を読み始めたのだが、これがむちゃくちゃ難解でむちゃくちゃ面白い。

古い作品なので翻訳も直球で、言葉遊びのパートなんかは読むのも正直大変だが、そういうのをさっぴいてもすばらしい。

 

まだSFというものが地位を確立していなかった時代、筆者がまえがきで「SFであってもよいミステリは書ける」みたいな話をしており、いまどきの感覚では当たり前の「SFミステリ」というものが当時いかに受け入れられるのが難しかったか、時間がかかったのかをうかがわせる。

まず「SF」って時点で壮大な法螺話、いいオトナが夢物語を子供みたいに面白がって、ってなイロモノ扱いを受け、そこにミステリ要素を持ち込もうってんだからそりゃもう大変でしょうよ、何が大変かよくわからんが。

 

この本には全13篇収録されているが、いろいろなところで筆者が実験的に書いたものを集めたもので、そのうちの何篇かにホームズよろしく安楽椅子(ではないが)探偵役のアース博士というのが出てくる。

乗り物大嫌いの変人天才、このアース博士のシリーズはすごくよかった。もっとあるならもっと読みたい。

当時としては間違いなくたしかな科学と、それに無限の想像力をかけあわせたSF世界の土台の上で、いろんな事件が引き起こされ、それに推理力を発揮する探偵役の博士がまたキャラが立ってる。

 

また何度も読み返したい。