職場の人のお勧めで、ちょうどタイミングがあったため手に取った。
上中下全3巻ということで腹くくって読みだしたのだが、想像以上にものすっごい面白く、3日くらいで読み切った。わたしにしては超速だ。
貴志氏の本は何冊かは読んでいる。
これ以外にもミステリ系を何冊か。
なので、そういうカテゴリの人だと勝手に思い込んでいたのだが、いやいやどうして。
当該作品はガチのSFで、すんばらしい大娯楽作。
これはなんだ、もっと流行ってもいいやつだよ。いや、流行ったのか?わたしが知らないだけ?
ジャンル分けが無意味なくらい、惜しげもなく作者のすべてがぶち込まれている。
ミステリーでホラーでサスペンスでアクションで青春で政治で歴史で戦記で科学で人類は爆発だみたいな(最後言っててよくわからん)、とにかくすばらしかった。
創作と事実が絶妙にブレンドされている。
実在する生き物の描写の延長線上に創作物があって、その実在するものを調べて存在をはじめて知ったりする喜びもあった。
思わずニヤリとしてしまう歴史ものへのオマージュもあり、時代がかった戦闘シーンやら、妙に透明感のあるロマンスパートもあり、コミカルな要素はまるでないのに会話の中にそういう面白さも含めていたりして、まーほんと、これでもかってくらいてんこ盛り。
作者自身がどこかで言ってたけど、「SF初心者でも楽しめる娯楽作品としてのSF」にみごとに仕上がっている。
それでいてSF好きの好奇心も満たしてくれる。
およそアラが見つけられない。
緻密な事実の上に壮大な法螺を乗っけて、すさまじいスピードで読者を引っ張っていく。
ハラハラドキドキページを繰る手が文字通り止まらない。
今年読んだ本ではいまんとこぶっちぎりで面白かったなーーーー。
ものすごくいろんなことを考えさせられるんだが、考えてる余裕がないくらい先を急がされて、読後はいい意味で疲れた。
絶対また読む。
人にも堂々とお勧めできる、傑作でした。未読の方はマジで是非。