2時間くらいで読み切った。かもめの写真が随所にはさまっていて、思ったより読みごたえがなかった、というか、飯食おうと思ったのにスコーンとコーヒーしか出されなかったみたいな印象。ほぼ絵本だね。
全世界で愛読され、タイトルだけなら知らない人もおらぬまいってくらい有名な本だが、これまで一度も手に取ったことがなかった。
宮沢賢治みたいな印象の本かな?と思ったらだいたいそうだった。
なんつーか、非常に宗教臭い。
食うことに困らない程度の若者たちが人生に迷ったときにこの本に出会ったら、なるほど傾倒するかもね。
翻訳が五木寛之氏で、氏はこの作品に対して比較的否定的な(あるいは冷静な)スタンスだったので、そこまでベロベロにならずに読み切れたって感じかな。
なるたけ平坦に、原文のニュアンスに忠実に、と訳してあった感じはある。
なので文体としては好感が持てちゃった部分はあるが、ストーリーとしてはかわいらしい絵本だ。子供向け。
なんでも後年に追加された最終章というのがあるそうで、あいにくわたしが読んだのは3章までの昔の版なのだが、完全版を読みたい!とは特にならなかった。
まあ機会があれば、くらい。
人生におけるさまざまな難しい、死ぬまで向き合わねばならないあらゆるテーマがある意味盛り込まれてはいるのだが、なんかちょっとペラい感じはある。
こういう重いテーマを抽象的でコーティングしたものってどうしても宗教臭くなっちゃうんだが、なんといっても短時間であっさりさらっと読めるので、このくらいのボリュームなら人生で一度くらいは読んでおいてよかったかな、と思えた。