1993年発行の放送大学の教材。
この本にあとがきを寄せていた著者の作品を探して取り寄せた。
うん、教科書でした。
普通に学習用教材。どこまでも教材。学問用。
でも、生物学という枠にとどまらず、というか、生物学を系統立ててしっかり学問していけばそうならざるを得ないのだろうけど、学問そのものはもちろん実に根源的な生命、歴史、文化、哲学、あらゆるジャンルにわたる事柄が記載されていて、時間はかかったがとても面白く興味深く読めた。
新たに知りたいこと、知らねばならないこと、考えることがもりだくさんすぎて、読後は頭から煙が出てた(←学問好きでない)。
でもなんていうか、たとえば学校の先生の授業でも、面白い人とそうでない人がいるじゃない。
この先生の授業は絶対面白いだろうなって思える。
驚くほどに博識で思慮深いけど、それをひけらかすでもなく、押し付けるでもなく、静かに淡々と、ていねいな口調と一本筋の通った自分なりの視点で語ってくれるっていうか。
筆を見れば人がわかるとは常日頃から思っていることだが(めちゃくちゃブーメランでアレだが)、この人の本を読めてよかった。
知識としてまったく残らない(とにかく忘れっぽい)ため実になっているかは甚だ疑問だが、ふとした瞬間に手に取って思いを馳せることができると思えば手元にあるのが嬉しくも思える。
学習教材ってのは読み物としては考えたことがなかったが、これを読んでそういうのもアリだと思えた、ことも収穫だった。