前記事の漫画「暴れん坊本屋さん」に出てくる読書好き店長が漫画内のどっかのコマで手にしてすすめていたのが気になって、調べて購入。
驚愕レベルの読書家ハルキスト店長がすすめる海外の本ってことで楽しみに読み始めたんですが、ナルホド上品で上質なお話でした。
表紙とタイトルでおわかりの方も多いと思うが、画家フェルメールと彼の描いた名画「真珠の耳飾りの少女」に着想を得た作品。
同タイトルの絵画は謎の多い作品で、いつ描かれたのか、モデルが誰なのかいまだ判然としない。
のをいいことに(言い方!)、限りなく自由に想像の翼を広げた本作は、時代、当時の文化や風俗を沢山盛り込んだ、なんともいえない青く甘酸っぱい、仄明るさ、あるいは仄暗さ、を感じさせてくれた。
恋愛小説とはいうもののいわゆるいまどきの惚れた腫れたとは程遠い、繊細過ぎる機微を独特の筆致で書いていて、やきもきもやもやしつつもそれがまた美しい。
絵画から受けるイメージをまったく損なうことなく、受ける印象としてはむしろ絵から物語がそのまま出てきたかのような見事さだった。
いわゆる洋モノはあまり得意ではないため数もたいして読んでいないが、それでもこれまで読んだどの洋モノとも趣が違って、非常に面白かった。
映画にもなっているようなので、本より映像派の方はそちらでお楽しみください。
ちらっと見ましたが映像も本の、あるいは絵画のイメージに則って作られているように見受けられました。
フェルメールの絵はとても好きですが、1枚の絵画からこんな風に物語を起こすことがとてもとても素敵で、なんていうか、これがメディアミックス?(違)
読んでいる途中で何度も表紙の絵をじっくり見ていました。
レプリカの絵画でも飾って眺めながら読むのもいいかもしれませんね。