乱読派の読書メモ

本好きの本好きによる本好きのための読書記録

「リアル鬼ごっこ」山田悠介

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

 

筆が悪い。序盤の展開もものすごい無理やり。読み進めるのキツイかなーって思えるレベル。

だったのだけど、設定は面白く先がどうなるのか気にはなるので、思ったよりはスラスラ読めた。

 

途中ハラハラするシーンも多いのだけど、筆が追いついていない印象で迫る怖さがない。展開が理解できずさかのぼることも数度あった。

映像化したら面白いんだろうな、っていうかむしろ映像化前提で書かれてる?っていうか、もっと言うと「あんまり筆が達者じゃない人が映像を見て書き起こした」感じ。

 

ラストはだいたい想像通りだったけど、いろいろ粗も物足りなさも目立った。

 

ただ、あとがきで解説を読んでビックリ、そしておおいに納得。

この作者、これを執筆した当初までほとんど本を読んだことがないそうな。

そして自費出版から売れたのが本作だったそうな。

 

なるほどなるほど、確かにこれだけ筆が良くないと出版社も買うに買えないよな。

でも設定としては捨てるに惜しすぎる面白さだし、そういう道のりで売れたのがものすごい納得できた。

 

小説は書けば書くほどうまくなる、と個人的には思っている。

山田氏はこれがデビュー作のようなので、その後の作品は機会があれば読んでみたいかな。