◆水木しげるの夫人、武良布枝氏の半生を描いたエッセイ
誰もが知ってる「ゲゲゲの鬼太郎」といえば漫画界のオバケ漫画ですね(両方の意味で)。
これを描いた超がつく鬼才、水木しげる氏の奥方が、その人生を振り返って書かれたエッセイです。
貧乏からはじまって、漫画に人気が出てきて、妖怪研究へとエスカレートする鬼才のそばでずっと見守ってきた氏が、その移り変わりを赤裸々に描いたものです。
◆NHK連続テレビ小説の原案に
わたしも例外でなく、NHKの連ドラでこちらの本を知りました。
ドラマはもちろん楽しかったですが、本と読み比べると多少異なる、創作の部分もあったように思います。
でもそれらはどれも、愛と尊敬に溢れていて、ドラマの制作に携わった人たちが「ゲゲゲ夫妻」を敬愛していた証拠のようにも思えました。
順番としては、本を読んでからテレビドラマを見る方が楽しめそうです。
◆「変わり者」の域をはるかにオーバーしている夫
そもそも売れない漫画家だった頃から、水木しげる氏はやはりどこか変わり者であったことは間違いないでしょう。
赤貧青年の妻から超売れっ子漫画家の妻へと立場が大きく変わっても、変わらぬ温度で変わり者の夫に寄り添い続けることができたのは、ご本人の謙虚な態度と忍耐はもちろんですが、ご主人水木氏の突き抜けた鬼才ぶりだったのかな、などと推察してしまいます。
正直それほど筆がよい部類ではないですが、さらっと読めるのは、全編を通して嫌味のない「昭和の女房」がよく描かれているからだと思います。